「ポイント制度もメルマガも一通り導入しているのに、リピート率が上がらない」。そうした課題を抱える事業者は少なくありません。リピート率は、施策の数を増やすだけでは改善しません。顧客が何回目でつまずいているのかを特定し、そこに手を入れて初めて上がり始めます。
今回は、リピート率の正しい計算方法とリピーター率との違いから、リピート率が下がる原因、上げるための5つの方法、成果につなげる手順までを解説します。自社のリピート率をどう読み、どこから手をつけるかの判断材料にしてください。
リピート率とは?リピーター率との違いと計算方法
リピート率とは、一定期間に獲得した新規顧客のうち、2回目の購入に至った顧客の割合です。何を分母に置くか、どのくらいの期間で区切るかによって、数値の意味が変わります。
まずは、計算方法と、混同されやすい「リピーター率」との違いについて解説します。
リピート率の計算方法とリピーター率との違い
リピート率は、一定期間に獲得した新規顧客のうち、その期間内に2回以上購入した顧客の割合です。計算式は次のとおりです。
- リピート率=(一定期間内に獲得した新規顧客のうち、2回以上購入した顧客数)÷(同期間の新規顧客数)
ある月に獲得した新規顧客が1,000人で、そのうち250人が2回目の購入に至った場合、リピート率は25%です。
混同されやすいものに、「リピーター率」があります。ここでいう「リピーター」とは、新規・既存を問わず、集計期間内に2回以上購入した顧客を指します。両者の違いを整理すると、下の表のようになります。
| 指標 | 計算式 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| リピート率 | 一定期間内に獲得した新規顧客のうち、2回以上購入した顧客数÷同期間の新規顧客数 | 新規で獲得した顧客が、どれだけ定着したか |
| リピーター率 | リピーターの数÷全顧客数 | 顧客全体のうち、リピーターが占める割合 |
注意したいのは、リピーター率だけを追っていると、新規獲得が落ち込んでいるにもかかわらず、数字は良く見えてしまう点です。リピーター率の分母が、新規顧客数ではなく「全顧客数」だからです。
たとえば、全顧客1,000人のうちリピーターが300人なら、リピーター率は30%です。翌期に新規獲得が減って全顧客数が800人になっても、買い続けてくれるリピーターが300人残っていれば、リピーター率は37.5%に上がります。事業としては縮小しているのに、指標の上では改善して見えてしまうのです。
リピート率は「初回→2回目」だけでなく、回数ごとの「残存率」で見る
リピート率は、「初回から2回目」だけでなく、2回目から3回目、3回目から4回目と、購入回数ごとに分けて見る必要があります。回数ごとに、「ある回から次の回へ進んだ顧客の割合」を出したものが「残存率」です。
一般にリピート率と呼ばれている数字は、初回購入者のうち2回目を買った人の割合、つまり残存率の最初の区間(初回→2回目)を切り取ったものにすぎません。区間ごとの残存率には、次のような傾向があります。
| 区間 | 残存率の傾向 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 初回→2回目 (F1→F2) | 最も低い | 離脱が最も多い区間。まず手を入れるべき場所。 |
| 2回目→3回目 (F2→F3) | 大きく上がる | ここを通過できるかで、その後の定着が分かれる。 |
| 3回目→4回目 (F3→F4) | さらに上がる | 購買が習慣になりつつある段階。 |
| 4回目以降 | 一定の水準に収束 | 収束先の高さが、その顧客層のロイヤリティを表す。 |
初回から2回目だけを追っていると、既存顧客のどこに手を入れるべきかが見えません。回数ごとに分ければ、「2回目までは取れているが3回目で離脱している」と、課題が何回目の問題なのかまで絞り込めます。
- 坂東コメント:一般的なリピート率は「初回→2回目」の1区間だけの数字です。2回目→3回目、3回目→4回目と区間ごとの残存率に分けて初めて、「何回目で落ちているか」が見えてきます。
残存率は回数を重ねるほど一定の水準に収束する
購入回数が増えるほど、その顧客が次も買ってくれる割合は高くなります。1回しか買っていない顧客が2回目に進む割合よりも、すでに5回買っている顧客が6回目に進む割合のほうが高いといえます。
注目すべきは、残存率が頭打ちになる水準が顧客層によって分かれる点です。同じ企業の顧客でも、残存率が低い水準で止まる層と、高い水準まで伸びる層があり、この差が将来の売上を左右します。
- 坂東コメント:Geneが500社・30業種の購買データを見てきた範囲では、ロイヤリティが低い層は残存率がおおむね7割程度、中間層は9割程度、高い層は9割台後半で安定します。ただし、この水準は業界によって変わります。大切なのは数字そのものよりも、自社の顧客がどのカーブに乗っているかを把握することです。それがわかれば、この先どこまで伸びる顧客なのかを見立てたうえで、投資の判断ができるようになります。
業界別のリピート率の平均と目安の使い方
業界平均は、目標値ではなく自社の位置を確かめる出発点として使います。公開されている調査は集計期間や分母の定義がまちまちで、そのまま当てはめると実態とずれるためです。
業界平均として公開されている数値は調査ごとに定義が異なるため本記事では示さず、参考として、業界ごとに見る指標と効果が出やすい打ち手を整理すると下の表のようになります。
| 業界 | 見る指標 | 効果が出やすい打ち手 |
|---|---|---|
| EC (D2C・単品通販) | リピート率(新規顧客のうち2回目の購入に至った割合) | 初回から2回目への転換、購買間隔の短縮 |
| 小売 (実店舗) | リピート率と来店頻度(業態差が大きい) | 来店頻度、会員制度によるランクアップ |
| 飲食 | 再来店の割合(リピート率) | 再来店の動機づけ、接客体験 |
| サブスク・定期購入 | 月次の継続率・解約率 (リピート率とは別の指標) | 解約率、継続期間 |
| BtoB | 契約継続率(更新率) | 契約継続、アップセル |
基準値は自社の購買データからつくり、公開されている数字は答え合わせに使う、という順番が基本です。自社の数字が目安を下回っていたとしても、まず確かめるべきは「顧客が何回目で離脱しているか」であり、業界平均との差そのものではありません。
- 坂東コメント:業界平均は目標ではなく「答え合わせ」に使うもの。基準値は自社の購買データからつくり、確かめるのは「顧客が何回目で離脱しているか」です。
リピート率の向上が経営戦略として重要な理由
リピート率の向上が経営戦略として重要なのは、市場が縮小し、新規獲得のコストが上がり続ける中で、既存顧客から得られる売上が事業の土台になるからです。
日本の総人口は2008年をピークに減少へ転じ、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の出生中位(死亡中位)推計(出生率・死亡率がともに中位で推移すると仮定した標準的なシナリオ)では、2056年に1億人を下回ると見込まれています。市場そのものが縮んでいく中では、離れた顧客の穴を新規で埋め続けるやり方にも限界があるのが実情です。「新規顧客が前年より少ない。来年の見込みはさらに少ない」という変化は、すでに多くの事業者が肌で感じています。
広告費の高騰で新規獲得のハードルも上がり続けています。既存顧客との関係づくりは、マーケティング部門だけが担当する一施策ではありません。顧客をどう扱い、どのような価値を届けるのか。その答え次第で、既存顧客がどれだけ買い続けてくれるか、すなわち売上の土台の大きさと、新規獲得に回せる予算の余裕が決まります。だからこそ、経営そのものに関わる問いなのです。
前章で見たとおり、回数を重ねた顧客ほど次も買ってくれる確率は高くなり、売上への貢献も安定します。初回から2回目を取るだけでなく、その先も一段ずつ購入回数を重ねてもらうことが重要です。そうして一度獲得した顧客が、長く売上を生み続けてくれます。
▶関連記事:「LTVを最大化する4つの変数とは?計算方法から仕組み化の手順までを解説」
リピート率が下がる原因
顧客が離れる背景にあるのは、商品そのもの、購入後の接点、離れていく顧客への向き合い方という3つの要因です。ここでは、リピート率が下がる主な原因について解説します。
- 商品・サービスへの不満が解消されていない
- 購入後のフォローが途切れている
- 「顧客の心変わり」で片づけてしまっている
商品・サービスへの不満が解消されていない
顧客が品質、価格、使い勝手、届くまでの時間のどこかに不満を持てば、自社の商品は次に選ばれにくくなります。購入前の期待と実際の体験にギャップが生まれた時点で、再購入の意欲は下がるからです。
商品そのものには満足していても、問い合わせへの対応で気持ちが離れる場合もあります。
やっかいなのは、不満を抱えた顧客の多くが、理由を伝えないまま離れていく点です。表立ったクレームとして届くのは一部にすぎず、大半の顧客は何も言わずに次の購入先へ移っていきます。自社には「なんとなくリピート率が落ちている」としか見えません。
顧客が何に不満を持っていたのかは、社内にある情報から読み取ることができます。問い合わせ履歴に繰り返し出てくる質問、解約時に書かれた一言、レビューの低評価などが、その材料です。
すでに集まっているのに読み返されていない情報が、社内に眠っていることが少なくありません。施策を足す前に、まずここを読み直すことから始めてください。
購入後のフォローが途切れている
顧客の離脱が最も多いのは、初回から2回目にかけてです。買った直後は、顧客の商品への関心も企業への印象も最も高い状態です。ここで接点が途切れてしまうと関心は急速に薄れ、次に思い出してもらうこと自体が難しくなります。
購入後の連絡が途切れるのは、初回だけではありません。2回目の獲得には力を入れていても、3回目・4回目への案内が手薄になっている企業は多く存在します。この状態のまま新しい施策を追加しても、離脱が起きている箇所は解消されません。
必要なのは、施策の数を増やすことではなく、購入から何日目に、どんな案内を、メールとLINEのどちらで送るのかを決め直すことです。
- 坂東コメント:施策の数を増やす前に、「購入から何日目に・どんな案内を・どのチャネルで送るか」を決め直します。連絡が途切れている回数を見つけることが先です。
「顧客の心変わり」で片づけてしまっている
顧客が離れたとき、「気が変わったのだろう」で説明を終えてしまうと、次の打ち手につながりません。離反はある日突然起きるものではなく、離れる前に「購入の間隔が延びる」「まとめ買いがなくなる」といった行動の変化が現れます。「心変わり」で片づけてしまうと、こうした変化を見ずに終わり、次の離反も防げないのです。
前回からの経過日数、まとめ買いの有無、問い合わせのやり取りは、一つひとつでは弱いサインです。しかし、こうしたサインを重ねて見ていくほど、予兆をつかむ精度は高くなります。行動データを持っている企業であれば、こうしたサインはすでに手元のデータにあるはずです。
- 坂東コメント:「心変わり」と説明された離反を購買データで遡ると、多くの場合、その前に購入間隔の延びやまとめ買いの消失が起きています。弊社では、区間ごとの残存率と並べて、顧客ごとの間隔の変化を毎月見られる状態にすることを、施策づくりより先にお願いしています。
リピート率を上げる5つの方法
リピート率を上げる方法は、顧客が「何回目」にいるかで使い分けることが基本です。初回購入から2回目に進んでいない顧客と、すでに何度も買っている顧客とでは、必要な働きかけがまったく異なるためです。
本記事で扱う5つの方法と、主な対象・KPIを整理すると次のとおりです。
| 方法 | 主な対象 | 主なKPI |
|---|---|---|
| 初回購入者に2回目の購入を促す | 1回目の顧客 | F1→F2の残存率、初回からの経過日数 |
| 購買データをもとにメール・LINE・DMを出し分ける | 全区間 | 反応率、施策経由の購入数 |
| 会員制度・ポイント・ランク制度を設計する | 2回目以降 | ランク別の残存率、会員化率 |
| アフターフォローとサポート体制を整える | 1〜3回目 | 問い合わせ後の再購入率、解約率 |
| 次の購入までの間隔を縮める | 全区間 | 平均購買間隔、間隔が延びた顧客の復帰率 |
どの数字も全体の平均ではなく、購入回数ごとにグループを分けて確認します。
このほか、業態によっては定期購入・サブスクへの導線づくりや、SNS・アプリでの接点維持も有効です。定期購入の継続率の上げ方は「定期購入の継続率を上げる方法|サブスク解約防止の施策と手順」で解説しています。
1.初回購入者に2回目の購入を促す
初回から2回目の購入を増やせれば、リピート率全体を最も大きく押し上げられます。
購入直後のサンキューメール、商品に同梱する案内、次回使えるオファーなど、手段はさまざまです。分かれ目は、顧客の関心が高いうちに、次に何をすれば良いかを企業側がはっきり伝えられるかどうかです。
よくある失敗は、初回購入者全員に同じクーポンを配ることです。初回に何を、いくらで買ったかによって、次に案内すべき内容は異なります。消耗品なら使い切る頃合いに、季節商材なら次のシーズンの手前にと、届けるタイミングも商材に合わせて設計します。
2.購買データをもとにメール・LINE・DMを出し分ける
配信施策は、購買データをもとに「誰に・何を・どの頻度で」送るかを分けることが前提です。
メールやLINEは、低コストで繰り返し送ることができ、開封やクリック、そこからの購入まで反応を追える定番の方法です。すでに顧客リストがあれば、ツールや広告への新たな出費を抑えたまま始めることが可能です。
配信内容を分ける際は、購入金額や商品カテゴリだけでなく、購入回数も基準に入れてください。2回目の顧客と5回目の顧客では、届けるべき内容も適切な頻度も異なります。
3.会員制度・ポイント・ランク制度を設計する
会員制度・ポイント・ランク制度は、「購入回数を重ねるほど残存率が高くなる」という性質を後押しする仕組みとして設計します。
リピート施策として最も多く挙がる方法ですが、制度があるだけでは効果は出ません。次のランクまであと一歩だと顧客に見せられれば、それ自体が次の購入を後押しします。
よくある失敗は、お得感だけで制度を組んでしまい、実質的に値引きと変わらなくなることです。割引や還元に加えて、自社から買い続ける理由を設計に織り込む必要があります。
4.アフターフォローとサポート体制を整える
継続を左右するのは、購入そのものよりも、購入後の体験です。特に効果が大きいのが、購入直後のオンボーディング(商品の使い方や活用例を案内し、顧客が価値を実感するまで導く初期フォロー)です。顧客の理解が深まれば、自社の商品は価格だけで他社と比較されにくくなります。
よくある失敗は、開封から初期設定までを終えた時点で、企業側から連絡する理由がなくなってしまうことです。購入から何日目まで連絡しているか、日数を並べて確認してみてください。
5.次の購入までの間隔を縮める
購買間隔を縮めることは、リピート率を上げることと並ぶもう一つの柱です。働きかけは2つあります。
- 次回の購入時期の目安や利用シーンに合わせた提案を届けるなど、次に買うタイミングを企業側から示すこと
- 前回の購入から時間が空いてきた顧客を早めに見つけ、声をかけること
顧客が離れてしまってから呼び戻すよりも、買うペースが落ち始めた段階で案内を届けるほうが、戻ってきてもらいやすいためです。間隔が延び始めた段階で声をかけることは、目先のリピート率だけでなく、その顧客にこの先どこまで買い続けてもらえるかを左右します。
MAツールを使えば、「前回の購入から◯ヶ月が過ぎた顧客に、自動で案内メールを送る」といった設定ができます。
- 坂東コメント:初回から2回目、2回目から3回目の間隔が短い顧客ほど、その後もロイヤリティの高い層に育っていく傾向があります。逆に、最初の数回で間隔が空いた顧客は、そのまま離れていきやすい。つまり、購買間隔は目先のリピート率を示す数字であると同時に、その顧客がどのカーブに乗るのかを早い段階で教えてくれる指標でもあります。最初の数回の間隔にどこまで手を入れられるかで、数年後の売上が変わってきます。
▶関連記事:「休眠顧客の掘り起こし|効果的な6つの施策と実行手順・成功事例」
リピート率向上を成果につなげる4つの手順
成果につなげるには、次の4つの手順が必要です。
- 自社のリピートサイクルを定義する
- 回数ごとの残存率と購買間隔を数値化する
- 効果検証まで一気通貫で運用する
- 事業者が自走できる体制をつくる
なお、この記事で紹介した施策を上から順に導入したり、最新のツールを入れたりすれば数字が上向く、というものではありません。
1.自社のリピートサイクルを定義する
最初にやるべきは、自社の顧客にとって自然な購買サイクルがどのくらいなのかを見極めることです。
業界平均を借りてくるのではなく、自社商材の購買サイクル、来店頻度、季節性から逆算して、「この期間が空いたら離反の兆し」と言える日数を数値で定めます。具体的には、最終購入からの経過日数別に、その後戻ってきた顧客の割合を比較し、復帰率が大きく落ち込む境目を探します。その境目が、自社にとっての離反の基準です。
併せて、初回から2回目、2回目から3回目それぞれの標準的な空き日数も出しておきます。すべてをひとまとめにした平均ではなく、何回目から何回目までかを分けることが重要です。
自社の離反判定の設定に、ツールの初期設定値や他社事例の日数がそのまま残っているケースは少なくありません。どれくらいの期間が空いたら離反とみなすかは、自社の商材と顧客をいちばん知る立場でしか決められないものです。
2.回数ごとの残存率と購買間隔を数値化する
次に、初回購入から定着、購買ペースの鈍化、離脱までの流れをデータで見える化します。
ここで全体のリピート率を一つ算出して終わりにしないことが肝心です。初回から2回目、2回目から3回目と、何回目から何回目まで何%が残ったのかを段階ごとに算出します。併せて、それぞれの段階で次の購入までに何日空いているのかも算出します。
空き日数が短い層と長い層で残存率に明確な差があれば、日数を縮める施策が将来の売上に効く根拠になります。そのうえで、累計購入回数や最終購入日からの経過日数でグループに分けます。
「一度お試しで買ってそれきりの顧客」と「長く優良顧客だったが最近利用が途絶えた顧客」では、必要な施策はまったく異なります。
3.効果検証まで一気通貫で運用する
施策を実行したら、開封率やクリック率で止めずに、売上とLTVにどれだけつながったかで評価します。開封やクリックはあくまで顧客の反応の一つであり、成果そのものではないからです。
検証の単位も段階ごとに分け、「リピート率が上がった」ではなく「2回目から3回目の残存率が上がった」というところまで確認します。そこまで分解して初めて、どの施策がどこに効いたのかを特定できます。
- 坂東コメント:検証は「リピート率が上がった」で止めません。「2回目→3回目の残存率が上がった」まで分解して初めて、どの施策がどこに効果があったかわかります。
▶関連記事:「CRM施策で追うべきKPI|施策別の代表的な指標一覧と設計手順を解説」
4.事業者が自走できる体制をつくる
最後の手順は、ここまでの運用を社内で継続できる体制を整えることです。外部の助言どおりに動くこと自体が悪いのではなく、なぜその施策なのかを自社で説明できないと、状況が変わったときに判断できなくなるからです。
誰がどの数字を追い、どのタイミングで何を判断するのかを社内で決めておけば、担当者が変わっても運用は続きます。
▶関連サービス:自走化・内製化支援
リピート率を上げるときにやってはいけない3つのこと
リピート率を上げようとするときに、避けるべきやり方もあります。いずれも一時的にはリピート率や売上が上向くため、気づかないうちに続けてしまいやすいものです。
- 値引きやクーポンに依存する
- 全員に同じ内容を一律配信する
- 現場の裁量をルールで縛る
値引きやクーポンに依存する
値引きには即効性があり、実施すればリピート率は一時的に上がります。ただし、繰り返すうちに、顧客が通常価格での購入を避けるようになり、次第に利益率も低下してしまいます。価格競争から抜けにくくなり、施策を止めた途端に数値も落ちるため、途中でやめる判断も困難です。
海外では、クーポンを一斉送信しても気づかずに定価で買う層が一定数いるため、利益率を保ったまま売上を伸ばせる場合があります。一方、日本では届いたクーポンが使われやすいと言われており、同じ施策でも市場の構造が違えば結果は大きく異なります。
海外の手法をそのまま取り入れるのではなく、自社の市場や顧客行動との相性を検証してから展開する視点が求められます。
- 坂東コメント:海外で成果を上げていたクーポン施策をそのまま日本に持ち込み、売上は増えても利益率が下がり続けた事例があります。施策の良し悪しではなく、市場との相性を検証しないまま展開したことが主な原因でした。詳しくは、関連記事「CRM導入の失敗事例5選|ツールを乗り換えずに立て直す4つの手順」「CRM導入の失敗事例5選|ツールを乗り換えずに立て直す4つの手順」で紹介しています。
全員に同じ内容を一律配信する
リスト全員への一斉配信は、反応率が下がるだけでは済みません。自分に関係のない案内が届き続ければ、配信停止やブロックにつながり、アプローチできるリストそのものが目減りしていきます。
購入回数も見ずに一律で送ってしまうと、2回目の顧客にも10回目の顧客にも同じ案内が届くことになります。長く買い続けてくれている顧客のもとに、初回購入者向けの入門的な案内が送られてしまい、その一通で顧客は「自分のことを何も見てくれていない」と感じます。
対面の接客であれば、常連の方と初めての方に同じ説明はしないでしょう。その気配りを、データの力を借りてチャネルの向こう側にも届けるという発想です。特別なことをするのではなく、いわば店頭での接客を再現するやり方です。
現場の裁量をルールで縛る
効率化を目的に、現場の対応をすべてルールとマニュアルで置き換えてしまうと、対応の品質は安定する一方で、顧客が「また来たい」と思う理由そのものがなくなっていきます。どの店舗でも同じ体験しか得られないのであれば、自然と選ぶ基準は価格と利便性だけになります。
業務をマニュアル化するという考え方自体には合理性があり、大規模なオペレーションを支える基盤として有効に機能してきました。問題になるのは、他社で機能した規格化の仕組みを、店舗数も客層も違う自社にそのまま持ち込み、現場が状況に応じて判断してきた部分までマニュアルに置き換えてしまう場合です。
必要なのは、ルールで縛ることではなく、守るべき手順と現場の判断に任せる部分を分けておくことです。
- 坂東コメント:Geneでは、業務の7割は定型化して良いが、残りの3割は現場の判断で動くべき領域だと考えています。この3割にこそ、お客様がその店を選び続ける理由が宿っているからです。データやルールで土台を整える目的は、企業がお客様に届けたい価値を、どの店舗・どのチャネルでも同じように届けられるようにすることにあります。定型化できる部分を仕組みに任せることで、現場はお客様一人ひとりと向き合う時間を確保でき、そこで積み重なる関係がお客様との絆になります。
リピート率の改善をCRM戦略コンサルティングのGeneに相談する3つの理由
回数ごとの残存率を算出するところまでは自社でできても、「なぜその区間で落ちるのか」を特定し、施策をつくり、効果を検証して回し続けるには、データ分析の専門性と人手が必要です。多くの企業が、ここで同じ壁に突き当たります。
Geneは、30業種・500社以上、累計1.5兆円の購買データから「顧客が何回目で離れ、どの層がどこまで伸びるか」を読み解いてきたCRM戦略コンサルティング会社です。リピート率の改善でGeneが選ばれる理由は、次の3つです。
- ブランドの価値と顧客との関係を理解したうえで、CRMの全体戦略を描くから
- 打ちたい施策に合わせてツールを組み合わせ、顧客のグループごとに施策を打てるから
- 高精度の売上予測モデルでリピート率を先読みできるから
ブランドの価値と顧客との関係を理解したうえで、CRMの全体戦略を描くから
お客様がリピートするのには、理由があります。ブランドが持つ固有の価値に惹かれていること、そして現場の人がお客様を理解し、関係を積み重ねてきたことです。
Geneの支援は、施策やツールから入りません。まず、その企業が顧客に届けたい価値を言葉にします。ブランドの独自性や、サービスに込めた想いです。
併せて、現場のスタッフがお客様一人ひとりと築いてきた関係や、そこで得た顧客理解を聞き取ります。CRMの全体戦略を描くのは、この2つを理解したあとです。
そのため、お客様に伝えたいことがずれず、一人ひとりへの声のかけ方も的確になり、オンラインや店舗での体験が一貫します。その先に生まれるのが、価格以外の「この会社から買い続ける理由」です。
逆に、これを飛ばしてツールと配信設計から入ると、施策はどの会社でも同じになり、行き着く先は値引き競争です。リピート率を持続的に上げることは、買い続ける理由を設計することにほかなりません。
打ちたい施策に合わせてツールを組み合わせ、顧客のグループごとに施策を打てるから
リピート率が動かないとき、多くの企業がたどる道は決まっています。
まず、施策を増やす。それでも数字が変わらないと、次は「ツールが古いからではないか」と、ツールの乗り換えに目が向きます。
しかし、施策を増やしても顧客が離脱している場所は変わらず、ツールを替えても使い方が同じなら結果も同じです。そのため、Geneの支援は、いま入っているツールと配信の使い方を見直すところから始まります。
Geneは、特定のツールを持たず、適切なツールを組み合わせて企業に合わせてシステムを開発していくCRM戦略コンサルティング会社です。打ちたい施策に合わせてツールを組み合わせるため、「初回から2回目に進んでいない顧客だけに使い方の案内を届ける」「次に買うまでの日数が延び始めた顧客だけに早めに声をかける」といった、顧客のグループごとの出し分けができます。
既存のツールで施策を実行できるなら、新しいツールは勧めません。ある企業では、ツールを足す代わりに配信先の絞り込みの精度を上げる見直しを行い、年間約1.2億円の配信コストを約6,000万円まで削減しながら成果を向上させました。
リピート施策は、続けてこそ効果を発揮するものです。だからこそ、Geneは無理なく施策を継続できるコスト構造まで含めて設計します。離脱している区間に合わせた働きかけを止めずに続けられることが、リピート率を押し上げる条件だからです。
高精度の売上予測モデルでリピート率を先読みできるから
Geneは、顧客グループごとのリピート率と購買間隔を「購買確率関数」として数式化し、実績ベースで誤差5%以内の精度で将来の売上を予測するモデルを構築しています。このモデルがあると、リピート率の見方が変わります。
回数ごとの残存率がこの先どう推移するかまで推測できるため、いま獲得している顧客がどこまで伸びる層なのかを見立てたうえで投資判断ができます。
さらに、離反は売上の数字に現れる前に、購買行動の変化として現れます。実際にGeneが支援したある企業では、利用が完全に途切れる数ヶ月前から注文頻度が下がり始める予兆が、データで確認されました。
数字が下がってから原因を探すのではなく、兆しが見えた段階で経営判断や現場の改善に着手できるため、リピート率を結果として追う指標から、先に動かす指標として扱えるようになります。
リピート率向上に関するよくある質問
最後に、リピート率について事業責任者やマーケティング担当者の方からよくいただく質問を5つ紹介します。
リピート率は業界平均を目標にすればいいですか?
目標値ではなく、自社の位置を確かめる出発点として使用してください。
公開データは集計期間も対象範囲もばらつきがあり、そのまま当てはめると実態とずれます。基準値は自社の購買データからつくり、外部の目安は答え合わせに使う、という順番が基本です。
リピート率とリピーター率、どちらを追うべきですか?
分母が異なる指標であるため、両方を併せて見るのが基本です。
リピート率は新規顧客がどれだけ定着したかを、リピーター率は顧客全体のうちどれだけがリピーターかを表します。リピーター率だけを追っていると、新規獲得が落ち込んでいるのに数字は良く見えることがあるため注意が必要です。
2回目以降のリピート率は、どう見ればいいですか?
2回目から3回目、3回目から4回目と、段階ごとに残存率を出して並べてください。
回数を重ねるほど残存率は上がっていき、やがて一定の水準で落ち着きます。自社の顧客がどの段階で離脱しているかがわかれば、優先して対策すべき場所が絞れます。
割引クーポンはどこまで使っていいですか?
きっかけづくりとしては効果的ですが、依存してしまうと利益率を削り続けることになります。全員に一律で配るのではなく、購入履歴をもとに、対象と頻度を絞ってください。
判断の軸は、そのクーポンが単発の売上をつくっているのか、それとも次の購買につながる関係をつくっているかです。
リピート率を上げる施策は、どのくらいで成果が出ますか?
リピート率そのものは購買サイクルを1〜2周しないと変わらないため、商材によっては数ヶ月から半年かかります。
一方、購買間隔の変化や、初回から2回目への転換率は先に反応します。こうした先行指標も併せて追えば、施策が効いているかどうかの判断は早くなります。
まとめ
リピート率は、一定期間に獲得した新規顧客のうち2回目の購入に至った顧客の割合ですが、その一つの数字だけでは、どこに手を入れるべきかは見えません。
初回→2回目、2回目→3回目と回数ごとの残存率に分解し、購買間隔と併せて確認することで、顧客が何回目でつまずいているのかが初めてわかります。
リピート率が下がる原因は、次の3つです。
- 商品への不満
- 購入後のフォローの途切れ
- 離反の予兆の見落とし
記事内で紹介したリピート率を上げる5つの方法は、いずれも「何回目の顧客に、どのタイミングで働きかけるか」を決めてから選ぶものであり、値引きへの依存や一律配信、現場の裁量を奪うルール化は、一時的に数字が動いても長続きしません。
成果につなげる方法は、自社データで離反の基準を定め、回数ごとの残存率と購買間隔を数値化し、効果検証まで一気通貫で運用し、それを自社で回し続ける体制をつくることです。
自社のリピート率がどこで落ちているのか、まずは現状を知りたいという方は、Geneの「初回診断」をぜひご活用ください。