Vision
Vision
欧米型の合理的なシステムだけでは決して成し得ない、
日本人が古来より培ってきたお客様と一心に向き合う
「商いの心」を、全社で再現・拡張可能なロジックへと昇華させます。
既存のシステムに合わせて現場を縛るのではなく、
企業一社一社の独自の「在り方」や「強み」を活かすために
デジタルを適応させ、企業の本来の力を開花させること。
この強固な絆を経営戦略の核に据えることで、
一過性の効率を追求するモデルから脱却し、
持続的な利益と事業成長を牽引していく——。
これこそが、日本が本来やってきた「誠の経営」の姿であると
私たちは確信しています。
企業と顧客との絆が資産へと変わる「日本型CRM」を、
これからの世界の新しい経営基準へ。
Mission
私たちは、現場に「点」として散らばる一人ひとりの創意工夫を、
データとシステムの力で「線」から「面」へと繋ぎます。
店舗やデジタルの垣根を超えたあらゆる接点で、
顧客にとっての「最良の理解者」として寄り添い、
企業からの「温もり」を感じられる状態を創り出すこと。
企業と顧客の想いが相互作用することで、
単なる経済関係を超えた深い絆が育まれていく。
この「オールカンパニー」でのホスピタリティを通じて、
デジタルが人と人の心を結ぶ架け橋となる仕組みを
社会に実装すること。それが私たちの使命です。
Value
誠とは、私たちにとっての美意識である。
私たちは、自分に嘘をつかず、他者、社会に対しても
正直に生きることをモットーとする。
自社の利益や売上目標を追いかけるために、
お客様にとって不必要な提案をしない。
たとえ短期的な成功や数字に繋がらなくても、
正しい道を美しく生き、自他に誠実であること。
この愚直なまでの「誠」の姿勢こそが、
Geneの全社員が共有する揺るぎない指針姿勢です。
Code of conduct
凡事徹底
当たり前のことを、
誰も真似できないほど
積み重ねる。
お天道様が
見ている
誰が見ていなくても、
自分と天に恥じない
行動を選択する。
圧倒的
顧客起点
徹底して顧客の立場に立ち、
その期待を超える価値を
追求する。
About crm-01
現場の創意工夫やホスピタリティを、データとシステムの力で再現可能なロジックへと昇華し、顧客起点から経営戦略を描くことで、持続的な事業成長を実現するCRM戦略モデルです。
About crm-02
現場の創意工夫を、
再現可能なデータに落とし込む
いままでは特定のスタッフの経験や勘によって実現されていた、きめ細やかな対応や顧客との繋がりをデータとして蓄積することで、再現可能なロジックに変える。属人的で再現が難しかった「おもてなし」を、誰でも提供できる再現可能な「仕組み」へと昇華させ、「現場ナレッジの組織化」によって企業全体のサービス品質を底上げする。
店舗・ネット・ブランドを繋ぎ、
一貫した温度の体験を届ける
これまでのCRMは店舗やネット、事業やブランドごとにデータが分断され、お客様への対応がバラバラな状態だった。それらのデータを統合し、分断の壁を超えてオールカンパニーをあげてお客様に向き合える土台を整えることで、どの窓口から関わっても、常に一貫した「温度感」のホスピタリティを届ける状態を実現する。
一生のファンをつくる
「感情起点」の体験設計
これまでは運用効率を追い求めるあまり、SaaSツールでできる範囲の、どのお客様に対しても同じ内容を一斉配信するような画一的な設計に偏っていた。それを、顧客が「嬉しい」「安心」と感じる感情の変化から逆算する体験設計へと切り替える。お客様にとっての「最良の理解者」だと感じてもらえる仕組みを整え、単なる取引を超えた深い絆を育むことで、一生付き合えるファンを増やし続ける。
CRMから経営戦略を描く
これまではCRMを単なるメール配信の道具や一マーケティング施策として扱っていたのを、売上の8割を支える既存顧客との絆こそが最大の「経営資産」であると再定義する。CRMを経営判断と投資の核となる戦略の「本丸」に据えることで、組織の評価軸や投資判断のあり方を根本から顧客起点へと変革し、持続的な事業成長を牽引する。
About crm-03
ロイヤル顧客の育成を起点とした事業成長
新規獲得コストが高騰する中で、「新規客獲得至上主義」による非効率な投資を改める。売上の8割を支える「既存顧客」との関係深化に経営資源を集中させ、今いるお客様を大切にする土台作りが、新規客がファンになる確率をも引き上げる。
経営の確度を上げる
「売上予測と予兆検知」
勘や期待に頼った売上予測ではなく、誤差5%以内の独自モデルによる「売上予測」と、リピート率などの行動指標の変化から業績悪化を事前に察知する「早期警報装置」を経営指針に据える。
人間力を武器にする
「7:3の実装ルール」
業務の7割をシステムで徹底して自動化し、残りの3割を現場スタッフが顧客一人ひとりに向き合い、創意工夫を凝らすための「自由度」として開放する。一度作り込んだら変えられない「固定化」されたシステムではなく、常に最善の施策をすぐに打てるよう、その時々に合わせて組み替え可能な「ファブレスなシステム構成」を追求する。
About crm-04
Geneが推し進める「日本型CRM」と従来の「欧米型CRM」の特徴をまとめています。
| 比較軸 | 欧米型CRM | 日本型CRM |
|---|---|---|
| 設計思想 |
コンバージョンの最適化 |
関係性の最適化 |
| デジタルの役割 |
属人性の排除・規格化 |
現場力の拡張・スケール |
| ロイヤリティ |
経済合理性 |
感情的な絆 |
| 実装原則 |
10割の完全自動化・固定 |
7割の定型+3割の自由度 |
日本企業の強みを
デジタルで最大化する─
日本型CRMの哲学
日本のデジタル投資25兆円の85%は、成果を生まずに消えている——。
その背景にあるのは、「日本らしさ」が殺されたまま、
海外型の手法をそのまま輸入し続けてきた構造的な課題です。
本章では、Geneが「日本型CRM」にたどり着いた背景と、
私たちが描く未来を、全9章にわたる物語として綴ります。
Chapter.0
日本は、世界の見本になれるか。
世界は混乱の中にある。国と国が自国の利益を守るために壁を築き、企業は四半期の数字を追い、資源を奪い合い、環境を後回しにする。協調よりも対立が選ばれ、長期よりも短期が優先される時代になった。
この時代にこそ、他者との関係性を大切にしながら変化を受け入れる力が求められている。その力を、2600年にわたって実践してきた国がある——。
2,600年間、一度も文化や歴史が途切れることなく、国家として存続し続けてきた国は、今や世界で日本だけになった。
なぜ日本だけが残ったのか。その背景には、構造的な条件がある。四方を海に囲まれた島国であること。単一の言語体系を共有していること。宗教的対立が深刻化しなかったこと。これらの環境が、外来の文化を受け入れながらも自らの連続性を保つことを可能にした。
しかし、条件が揃っていたというだけで、2600年は説明できない。幾多の戦乱、自然災害、そして外圧にさらされながら、この国はその都度立ち上がり、発展を遂げてきた。
その発展の原動力を深ぼってみると、ある一貫したパターンが存在する。外から来るものを、ただ受動的に取り込んできたのではない。「こう生きたい」「こうありたい」という意志が、外のものを選び、改良し、日本のものへと統合する動きを生み出してきた。
6世紀、中国大陸から漢字が伝来した。日本はそれをそのまま使い続けるのではなく、漢字を崩してひらがなを、漢字の一部を取ってカタカナを生み出した。幕末、黒船の来航という強烈な外圧に直面した日本は、わずか数十年で近代国家への変革を成し遂げた。西洋の鉄道技術を取り入れ、やがて新幹線という独自の高速鉄道を実現した。
これらに共通するのは、「受容→選択→改良→統合」というプロセスである。ただし、このプロセスを動かしていたのは、外からの圧力ではなく、内からの意志だった。
しかし、日本を貫く力はもう一つある。関係を途切れさせず、積み重ねる力である。
日本には、100年以上続く企業が世界全体の41%、200年以上続く企業に至っては65%が集中している。日本の商いは、顧客を「使い捨て」にできない環境の中で発展した。この前提が、「おもてなし」という概念を育てた。
1922年に来日したアインシュタインは「日本人は西洋の知的成果に学びつつも、自らの偉大な特質を純粋に保ってほしい」と述べた。ドラッカーは1971年「日本の経営から何を学べるか」を発表した。
土着化と長期関係構築。この二つの力こそが、世界が次の局面に進むための鍵になる。日本は世界の見本になれる。いや、なるべきだ。
しかし足元を見れば、日本はその力を発揮できているとは言いがたい。むしろ今、私たちは大きな課題に直面している。
Chapter.1
日本の人口は、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じている。生産年齢人口は、1995年の8,700万人から、2050年には5,500万人程度にまで減少すると見込まれている。
この壁を越えるための鍵は、デジタルの実装である。「あれば便利」なものではなく、「なければ立ち行かない」ものに変わっている。
しかしこの大きな投資と変革への意志は、果たして成果に結びついているのか——。
地方では、すでにその影響が目に見える形で現れている。商店街の空き店舗、後継者のいない中小企業、人手不足で回らない介護や物流の現場。これらはニュースの中の話ではなく、日本全国の日常に広がっている現実である。
国際的な立ち位置も変化している。IMDが発表する世界競争力ランキングにおいて、日本は1989年には1位だったが、2024年には38位にまで後退した。
政府も動いている。デジタル庁の設立、DX推進政策、AI戦略。企業もまた、DX推進部門の新設やデジタル人材の採用に動いている。日本全体が、デジタルによる変革に舵を切ろうとしている。
しかしここで一つ、冷静に問わなければならないことがある。この大きな投資と変革への意志は、果たして成果に結びついているのか。
Chapter.2
日本は年間25兆円をデジタルに投じている。対GDP比では米国と同じ約4%。決して、投資の「量」が足りないわけではない。
しかし現実には、DXプロジェクトの85%が期待した成果を上げられていない。25兆円のうち成長につながる「生き銭」になっているのは、わずか3.8兆円程度。残りの85%は、効果を生まないまま消えている——。
「今の時代、マーケティングオートメーションなしでは戦えません」。ベンダーからの提案を受け、ある企業は数千万円をかけてMAツールを導入した。しかし蓋を開けてみると、自社の営業プロセスとかみ合わない。結局、以前と同じようにExcelでリストを管理している。
別の企業では、「全社的なDX変革が必要です」「まずはグランドデザインから」。大手コンサルティングファームが描いた壮大なロードマップに沿い、1年以上・数億円のプロジェクトが始動した。しかし現場の業務フローとの乖離が大きく、稼働後すぐに使われなくなった。残ったのは、巨額の投資に見合わない中途半端なシステムと、疲弊した現場の士気低下だけだった。
こうした話は、特定の企業に限った話ではない。日本中のあらゆる業界、あらゆる規模の企業で、似たようなことが繰り返されている。
この状態が続けば、日本は投資をしながら衰退するという、最も残酷な結末を迎えることになる。
Chapter.3
なぜ、これほどまでに失敗が繰り返されるのか。原因は、日本の強み「受容→選択→改良→統合」という土着化のプロセスがデジタル領域では機能していないことにある。
ベンダー、コンサル、事業会社の3者構造。そして西洋型デジタルの思想と日本的価値創出の根本的な不適合。この二重の構造が、25兆円の投資が生き銭にならない根本的な原因である——。
このスピードの中で「選択」も「改良」もないまま、海外の成功事例やソリューションがそのまま持ち込まれている。これは0章で語った土着化ではない。単なる模倣である。
ベンダーは自社のプロダクトを提案する。コンサルは外部から介入して主導権を握る。そして、本来の主役であるはずの事業者が、いつの間にか脇役に回ってしまっている。この循環の中で、事業者は最も大切なものを少しずつ失っていく。「自分たちのやりたいことを、自分たちで判断し、実現する力」である。
しかし、問題の根はさらに深いところにある。3者の構造だけではなく、デジタルそのものの思想が、日本の事業構造と噛み合っていない。
業務システムやERPに代表されるデジタルの本流は、属人性を排除し、業務を規格化する思想の上に成り立っている。一方、日本の企業が価値を生み出してきた方法は、日々の創意工夫の積み重ねだ。一度導入したら変わらないルールに則った運用を前提とする西洋型デジタルと、日々変化させ続けることを前提とする日本の事業運営。この二つは、思想のレベルで噛み合わない。
守破離の考え方でいえば、業務の7割は「守」――定型化された運用である。しかし残りの3割――現場の創意工夫や改善が最大限に発揮される領域――は、変化し続けることが前提にある。この3割を殺さないデジタルのあり方を見つけること。それを、Geneは「日本型デジタル」と呼んでいる。
しかし、この「日本型デジタル」を実現できるプレイヤーが、今の市場には存在しない。
Chapter.4
必要なのは、この構造の「外」に立つ存在である。
Geneは、その選択をした企業である。自社プロダクトを持たない。大規模プロジェクトを組成する動機を持たない。特定のベンダーとの資本関係や業務提携に縛られていない。この3つの「持たない」が、Geneの立ち位置を規定している——。
ベンダーは自社プロダクトを売ることで成り立っている。コンサルティングファームは、短期間にハイコストで大規模プロジェクトを設計・運営することで成り立っている。つまり、既存のプレイヤーがこの構造を変えようとすることは、自らの存在基盤を否定することに等しい。
Geneは、ベンダーでもなく、コンサルでもなく、事業会社でもない。3者のいずれにも属さない、構造の外側にいる存在。ベンダーとクライアントの間に立つ「ファイアウォール」として、利害のフィルターになる。
この立場があることで、事業者の見え方が変わる。「このプロダクトを導入すべきかどうか」ではなく、「自分たちがやりたいことに対して、最適な規模感とコストは何か」という問いが成立するようになる。
そして最も重要なこと。事業者自身が「自分たちのやりたいことを、自分たちで判断し、実現する力」を取り戻す。Geneは事業者の代わりに判断するのではない。主語はあくまで事業者自身であり続ける。
0章で語った「受容→選択→改良→統合」のプロセスを、事業者の手に取り戻すこと。それが、Geneが構造の外に立つ理由である。
Chapter.5
Geneが最終的に目指しているのは、「日本型デジタル」の社会実装である。その道筋は、3つの段階で描かれる。
第一段階は、事業会社が主導権を持つデジタルマーケティング。第二段階は、個社の成功を横に展開すること。第三段階は、共通部分を基盤として構築すること。
日本型CRMを世界のスタンダードに——これが、Geneのビジョンである。
デジタルマーケティングは、今の日本において、最も主導権が外部に渡ってしまっている領域である。同時に、最もその必要がない領域でもある。なぜなら、マーケティングとは本質的に「顧客にどう向き合うか」という問いであり、その答えは事業者自身の中にあるからだ。
Geneは、事業者が持っている「顧客への願い」を、デジタルの世界で形にする橋渡しをする。顧客の購買行動を図式化し、その行動の周辺にある本質的なKPIを発見する。「売上を上げる」という漠然とした目標を、事業者自身が「なるほど、ここがポイントだったのか」と納得できる具体的な指標に変換する。
第二段階。ファブレス型であるGeneは、複数の企業と同時に向き合い、それぞれの現場で得られた学びを、別の現場の文脈に翻訳して持ち込むことができる。Geneはこれを「パラレル学習」と呼んでいる。
第三段階。ここで重要なのは、何を共通化し、何を共通化しないかの線引きである。データの取り扱いや分析の方法論、業務プロセスの設計原則――こうしたものは、業界を超えて共有できる。一方で、顧客との関係性の築き方、ブランドの世界観、事業者固有の哲学――これらは共通化してはならない。
そしてこの第三段階には、もう一つの可能性がある。日本で磨き上げてきたCRMの知見を、世界に展開することだ。サーバーコストの低下、AIの普及、言語の壁の消失。これらの技術変化により、日本で培ってきたCRMの知見は、世界で実現できるものになりつつある。
Geneが直接支援する経済規模を16兆円にまで拡大していくこと。最終的には、国家戦略の中に「日本型デジタル」というキーワードが組み込まれる状態を目指すこと。それが、Geneのビジョンの具体的な姿である。
Chapter.6
なぜ、数あるデジタル領域の中で、マーケティングなのか。それは、最もポテンシャルがありながら、事業会社が自ら主導権を握って取り組んだ経験がほとんどない領域だからである。
人口が減る時代、企業が事業を持続させるために最も重要なのは、今いる顧客との関係を深め、離さないこと。既存顧客との関係構築こそが、人口減少時代における事業の本丸である——。
戦後の高度経済成長期、日本は「ものづくり」の国だった。日本企業が磨き上げてきたのは「何を、どう作るか」というプロダクトアウトの力である。この時代、「どう売るか」は勝負の分かれ目ではなかった。
マーケティングという体系が発達したのはアメリカである。広大な国土に多様な民族が暮らし、対面で会えない顧客にどう届けるかが事業の生命線だった。日本はその対極にあった。テレビCMを流せば、同じメッセージが同じように届いた。
しかし、その前提は崩れた。人口増加は止まり、市場は拡大から縮小へと転じた。消費者の価値観は多様化し、「同じものを大量に」では通用しなくなった。
しかし、この本丸に本気で取り組んでいる企業は驚くほど少ない。既存顧客との関係構築は、成果の切り分けが難しい。新規集客なら「何人来たか」で測れるが、既存顧客の施策は「来なかったはずの人が来た」「離れるはずの人が残った」という不在の証明になる。
成果が見えにくいから、予算がつかない。エース人材が配属されない。さらに、既存顧客に向き合おうとした瞬間、ステークホルダーが爆発的に増える。そして、この領域は通常のコンサルティングモデルとも合わない。
事業の本丸であるにもかかわらず、外部から参入するプレイヤーがほとんどいない。本当に日本の事業者の未来を考えるならば、ここにこそ向き合うべきだ。
Chapter.7
Geneの競争優位は、三つの層で成り立っている。第一層は、そもそもこの領域に腰を据えて取り組む企業がほとんどいないこと。第二層は、取り組もうとしても既存プレイヤーの構造では対応できないこと。第三層は、500社の知見というカッティングエッジ。
すべての場所で同じ温度の体験を——これが、Geneのミッションである。
「なぜGeneにそれができるのか」ではない。むしろ、「なぜGene以外にやっている会社がないのか」である。面倒で、地味で、華やかさがない。しかし、人口が減り続ける中で企業が生き残るための本質的な活動はここにある。
コンサルが小さなプロジェクトを推奨すれば自社の売上が減る。ベンダーが自社プロダクト以外を薦めれば存在意義が揺らぐ。構造上、そうならざるを得ない。Geneにとって、主役は事業会社自身だ。Gene自身は主役にならない。
第三層は、Geneが持つカッティングエッジ——「何をやるか」と「どうやるか」のナレッジである。このナレッジこそが、500社を超える実績の中で積み上げてきた先行者優位にほかならない。
このナレッジの核心を一言で言えば、日本の事業者が現場で積み上げてきた顧客対応の力を、データとシステムで拡張することだ。アメリカで発達したデータとシステムの方法論を、日本の事業者の文脈に合わせて選び取り、改良し、現場の力を拡張する手段として統合する。
顧客企業の中で、エンドユーザーに対する温度を、店舗が変わっても、スタッフが変わっても、チャネルが変わっても、変えない。属人的に成立してきた顧客対応の精度を、データとシステムで拡張し、組織全体で同じ品質に再現する。これが、現場知の拡張という言葉の中身である。
あるグローバルスポーツブランドの日本法人で、本社がグローバル標準ツールへの移行を強いた結果、KPIが軒並み悪化した。グローバル本社の施策は「初回購入者全員に2回目購入を促すクーポン」というシンプルなものだったが、日本法人は顧客の購買履歴に応じて細かく分岐するシナリオを設計していた。日本企業はすでに「おもてなし」をマーケティングで実践する力を持っている。ただ、それがデジタルの主導権とともに失われかけている。
ポジション、ナレッジ、スタンス、人材。この四つが揃って初めてGeneは成立する。組織規模30人。一人ひとりが高い判断力を持ち、顧客にど真ん中から向き合える人材で構成する。この規模と方針であれば、属人性は制約ではなく、むしろ競争優位そのものである。
Chapter.8
Geneの武器を「刀」とするなら、その刀をどう使うかを規定するものが必要になる。Geneにとって、それが「誠」である。
己に、人に、誠であれ——これが、Geneのバリューだ。
500社の知見という刀を持った上で、それを顧客の利益のために使うと決める規律——それは、覚悟なしには成立しない——。
事業者が「売上を伸ばしたい」と相談する。ベンダーは「自社のMAツールをどう提案するか」を考え、コンサルは「これをどう全社変革プロジェクトに仕立てるか」を考える。Geneは、そのどちらでもない。
Geneはまず「なぜそう思ったのか」を聞く。話を聞いていくと、事業者が本当に困っているのは、表面に見えている課題とは別のところにある。事業者の反応は「そこがKPIだったのか」というものだ。Geneは答えを外から持ち込まない。事業者が自分たちの事業の中にすでに持っている「正解」を、データで掘り起こすのである。
「そのツールは今の御社には必要ありません」「今やるべきは、新しい投資ではなく、今あるものを見直すことです」。こうした言葉は、短期的にはクライアントを失うリスクになる。しかし、クライアントの本質的な成功を考えたとき、言うべきことを言わないことの方が、はるかに不誠実である。
ある企業では、年間1億円を使っていたメッセージ配信を見直した。配信量を増やすのではなく、ターゲティングの精度を上げることで、コストを6,000万円にまで削減しながら、成果も向上した。耳の痛いことを言う姿勢が、結果として最も合理的な成果をもたらしている。
7章で描いた「500社の知見×方程式」が刀だとすれば、「誠」は武士道である。Geneは、刀と武士道の両方を持つ組織として、時代を変える存在を目指している。
立ち位置と武器と規律。この三つが揃ってはじめて、3章で描いた構造を実際に変えることができる。
Chapter.9
Geneは、自社で制作・開発・運用といった実行機能を持たない。社内にあるのは、データ分析部隊と事業開発プロデュース部隊のみ。いわば「ファブレス型」の組織である。
Geneのリーダーシップは、「羊飼い」に喩えることができる。前で旗を振り、号令をかけるのではない。誠でいる限り味方であるという安心感を作ること——。
もしGeneが自社に開発チームを持てば、開発を前提とした提案に傾きやすくなる。広告運用チームを持てば、広告運用を勧めやすくなる。特定の実行機能を社内に持つことは、構造の中に自ら入っていくことを意味する。
Geneの組織設計は、コスト効率やリソース配分の話ではない。「構造の外に立つ」という選択と、「誠の精神で向き合う」姿勢を、組織として構造的に担保するための設計である。個人の善意や努力に依存するのではなく、組織の仕組みそのものが哲学を体現している。
Geneが連携するパートナーもまた、Geneの哲学に共感し、同じ方向を見ている企業や個人である。単なる外注先ではなく、「日本型デジタル」の実現に向けた同志として、共に事業者と向き合う。
羊飼いは、羊を一列に並ばせて行進させるわけではない。初動を与え、外れた羊を戻すだけだ。羊は自分の意志で目的地に向かう。リーダーは一番後ろにいる存在である。誠でいる限り味方であるという安心感を作ること。それがリーダーの役割である。
ファブレスは「機能を持たない」ことでバイアスを排除する構造設計。羊飼い型は「管理しない」ことで主体性を引き出す運営設計。両方に共通するのは、「余計なものを足さない」という哲学である。
Geneの組織は小さい。しかし、その影響範囲は組織の規模をはるかに超える。Geneの価値は自社の実行能力ではなく、事業者とパートナーをつなぎ、構造を設計し、全体を方向づける力にある。そしてその力は、トップダウンの号令ではなく、一人ひとりが自らの意志で動く組織だからこそ生まれる。
Chapter.10
「自分の意志で目的地に向かう」ためには、目的地を理解し、自分で判断し、自分で動ける人間でなければならない。
0章で語った「当事者」という概念が、ここで再び浮かび上がる。Geneの中にいる人間もまた、「日本型デジタル」を実現するための当事者でなければならない——。
日本の土着化を支えたのは、いつの時代もその時代を動かしていた当事者自身だった。朝廷が、職人が、技術者が、経営者が、目の前の現実に向き合い、自らの判断で選び取った。Geneの中にいる人間もまた、「日本型デジタル」を実現するための当事者でなければならない。指示を待つのではなく、自ら問いを立て、自ら動く。それが当事者の条件である。
「誠でいる限り味方である」。これは組織から個人への約束であると同時に、個人から組織への約束でもある。
Geneで働く人間に求められる姿勢は、3つある。
一つ目は、凡事徹底を自分自身に課す覚悟である。全てのデータを見る。全てのKPIを図式化する。一つずつ確認する。近道を探さない。「誰でもできるが、誰もやらない」ことをやるのが、Geneの一員としての覚悟である。
二つ目は、フレームに頼らず、自分の目で見る力である。フレームがないということは、目の前の事象を自分の力で構造化しなければならないということだ。それはマニュアルで身につくものではない。現場に向き合い続けることでしか磨かれない力だ。
三つ目は、属人性を引き受け、磨き続ける意志である。昨日の正解が今日の不正解になるデジタルの世界で、自分の知識や経験に固執しない。個社から得た学びを横に展開し、自分もアップデートし続ける。パートナーや事業者の領域にも踏み込む越境の覚悟を持つ。
「日本型デジタル」は、制度や仕組みだけでは実現しない。一人ひとりの意志と行動の集積として、初めて形になる。そして、Gene一社で実現できるものでもない。事業者、パートナー、業界、国家——当事者意識を持つ無数の人々の意志と実行が積み重なって、はじめて社会のものになる。だからこそGeneは、同じ役割を担う仲間が増えていくことを歓迎する。
「日本型デジタル」こそが、これからの日本が世界に提供できる唯一無二の価値である。それを実装し、磨き上げ、世界に示すこと。それは日本だけにできる仕事であり、今この時代にしかできない仕事である。
Geneは、その仕事に立ち会う一員でありたい。そして、この旗の下に立つ一人ひとりが、その実現の主役である。