EC・通販ビジネスでリピート率やLTVを伸ばすには、顧客の購買履歴やタイミングに合わせて情報を届ける仕組みが求められます。しかし、知名度や機能の多さだけでCRMツールを選ぶと、高いコストを払っても現場で使いこなせないケースが少なくありません。
本記事では、EC・通販向けCRMツールの主な機能と料金相場を整理し、自社に合った失敗しない選び方を解説します。
EC・通販におけるCRMの重要性とツールの選定基準
EC・通販ビジネスで顧客との関係を深め、LTV(顧客生涯価値)を最大化するには、自社の購買サイクルに合ったCRMシステムの選び方を理解しておく必要があります。BtoBビジネスが「営業担当者の商談ログ」を管理するのに対し、EC・通販で扱うデータは、顧客一人ひとりの「いつ、何を、何回買ったか」という購買履歴そのものです。
ここでは、EC・通販のCRMで重要な3つの施策をもとに、ツールを選ぶときの基準を解説します。
- 新着・再入荷などの商品情報を、タイミングよく届けられるか
- 閲覧・購買履歴から「好みに合う商品」をレコメンドできるか
- 「体験型コンテンツ」の配信と「ランク制度」の運用ができるか
基準①:新着・再入荷などの商品情報を、タイミングよく届けられるか
EC・通販では、新着商品や再入荷、季節の特集といった新しい商品情報が、顧客がサイトを訪れたり、購入したりするきっかけになります。こうした新しい商品情報(商品の「鮮度」)を、更新されたタイミングで顧客に届けられるかどうかが1つ目の基準です。
単に「購入から〇日経過したから」という機械的な追客だけでなく、新商品や入荷のタイミングに合わせるなど、顧客の購買意欲が高まるときを狙ったアプローチが有効です。新規顧客獲得単価(CPA)が上がり続ける中、収益の多くは初回購入者を2回目・3回目の購入につなげられるかで決まります。
CRMツールの役割は、購買履歴から顧客の状態を把握し、F2転換(初回→2回目)から優良顧客化までの働きかけを継続することです。LTVは、購買履歴に基づいた継続的な働きかけの積み重ねで向上します。ツールを選ぶときも、働きかけを継続できるかどうかを基準にします。
基準②:閲覧・購買履歴から「好みに合う商品」をレコメンドできるか
全員に同じおすすめ商品を届ける一斉配信は、顧客にとって「自分には関係ない情報」になりやすく、ブロックや離脱につながります。そのため、過去の購買カテゴリー・購入頻度・サイト内での閲覧履歴などのデータに基づき、顧客セグメントごとに「その人が今、最も求めている商品」を自動で提案(レコメンド)できるかどうかが、ツールを選ぶ基準になります。
同じ考え方は、商品を薦めるタイミングにも当てはまります。自社商材のリピート購入間隔から逆算し、「次の購入検討期に入った顧客」「間隔が普段より延びた顧客」に応じて、提案する内容やタイミングを変えます。
基準③:「体験型コンテンツ」の配信と「ランク制度」の運用ができるか
購入後の使い方が伝わるコンテンツと、購入を重ねるほど特典が上がる仕組みは、どちらも顧客が次の購入を考えるきっかけになります。動画やスタイリング投稿、コーディネート紹介など、商品を買った後の具体的な「利用シーン」や「ライフスタイル」が頭に浮かぶコンテンツを配信すると、購入意欲が高まります。
さらに、購入回数や累計金額に応じて特典が上がる「ポイント・会員ランク制度」を組み合わせることで、顧客のリピート意欲を高められます。こうしたコンテンツの配信とランク制度の運用を、無理なく続けられるツールかどうかも確認します。
- 坂東コメント:成果を出している企業様の多くは、「ツールで何を送るか」より先に、「顧客にどんなおもてなし(鮮度・レコメンド・体験コンテンツ・ランク特典)を届けるか」を自分たちで決めています。ツールの機能を比較する前に、自社がやりたい「商品鮮度の伝え方」「セグメント別のレコメンド」「スタイリングやランク施策」を、最もスムーズかつ低コストで実現できる構成かどうかを検証することが、失敗しないツール選定の基準です。
EC・通販向けCRMツールの機能でできること
CRMツールが持つ機能は、製品によって名称や範囲もさまざまです。ここでは、EC・通販向けCRMツールが持つ機能のうち、顧客データの管理から配信、効果検証まで、実務で重要度の高い5つを紹介します。
- 顧客の全購買履歴を一元化する統合データベース機能
- 購入サイクルに応じてメッセージを自動配信するMA機能
- 顧客のファン化を促すステップ配信とシナリオ分岐機能
- リピート率やLTVを視覚化する分析レポート機能
- LINEや公式アプリと連携したマルチチャネル配信機能
1.顧客の全購買履歴を一元化する統合データベース機能
顧客一人ひとりの購買データを、チャネルをまたいで1か所に集約・保存する機能です。ShopifyなどのECサイトの注文履歴、実店舗のレジの購入データ、公式LINEの会員情報などが対象になります。
たとえば、「〇〇さんが先月ECでコスメを購入し、今週は表参道店でギフトを買った」といった、チャネルをまたぐ購買行動を時系列で把握できます。店舗とオンラインの購買を同じ顧客として扱えるかどうかで、セグメントと分析の精度が変わります。
2.購入サイクルに応じてメッセージを自動配信するMA機能
顧客ごとの購買タイミングを起点に、フォローメールやLINEを自動で送る機能です。
たとえば、「初回購入から7日後」「次回購入予定日の3日前」といったタイミングで、配信を設定できます。購買間隔の短縮や定期購入の継続に直結するため、EC・通販で最も使われる機能の一つです。
3.顧客のファン化を促すステップ配信とシナリオ分岐機能
配信後の顧客の行動に応じて、次に送る内容や経路を自動で分岐させる機能です。決めた順番でメールを送るステップ配信に、「メールを開封したか」「リンクをクリックしたか」「購入に至ったか」といった条件を加えて使います。
たとえば、「商品ページを見たけれどまだ購入していない人」だけに、別の案内を送ることができます。顧客の反応に合わせて案内を変えられるかどうかで、追客の細かさが変わります。
4.リピート率やLTVを視覚化する分析レポート機能
売上に直結する指標を、ダッシュボードで確認する機能です。
開封率やクリック率といった途中経過の指標だけでなく、F2転換率(初回購入者のうち2回目を購入した顧客の割合)、リピート率、LTV(顧客生涯価値)まで確認できます。
たとえば、「新規客」「定着客」「優良客」といった顧客セグメントごとに、F2転換率やLTVを比較できます。配信の結果を売上の指標で評価できるため、次に見直す施策を決めやすくなります。
5.LINEや公式アプリと連携したマルチチャネル配信機能
顧客ごとに適したチャネルで、メッセージを届ける機能です。
メールに加えて、LINE公式アカウント、アプリのプッシュ通知、SMSを、CRM内のセグメントと連携させて配信します。
たとえば、メールを開封しない顧客には、LINEで案内を送るといった使い分けができます。普及率の高いLINEやSMSを活用することで、見落とされがちな案内も届きやすくなります。
主要なEC・通販向けCRMツール6製品の特徴
EC・通販向けCRMツールは複数のベンダーから提供されており、得意分野や料金体系もそれぞれ異なります。
ここでは、まずツールの3つの種類を整理し、次に主要6製品を2つの表で比較します。そのうえで、製品ごとの特徴・料金・導入前に確認したい点を紹介します。
EC・通販向けCRMツールは大きく分けて3種類ある
EC・通販向けCRMツールは、機能の重点によって大きく3種類に分けられます。
| 種類 | ツール例 | 概要 |
| 統合型 | ①Salesforce ②HubSpot | 営業・サポートまで含めた顧客管理の幅広さに強みを持つ一方、EC専用の分析機能やBtoCの大量データ配信では事前の設計が必要です。 |
| EC特化型CRM/MA | ③カスタマーリングス ④うちでのこづち ⑤EC Intelligence | ECカートや店舗POSとの連携、LTV分析、F2転換分析など「EC通販のセオリー」となる機能が標準装備されており、分析と配信を一体で運用できます。 |
| Web接客型 | ⑥KARTE | 顧客が「今まさにWebサイトをどう見ているか」という一瞬の行動を検知してポップアップ等で接客することに特化しており、サイト内でのリアルタイムなアプローチに強みがあります。 |
主要CRMツール比較表
ここでは、3つの種類の中から、EC・通販のCRMツールを検討するときに候補に挙がることの多い6製品を取り上げます。まず、EC・通販で使う主な機能に、各製品が標準で対応しているかを比較します。
(○:標準機能、△:オプション・関連製品・外部連携で対応、-:なし)
| 製品 | EC×実店舗の購買データ統合 | 購買タイミング起点の自動配信(シナリオ) | 商品レコメンド(メール・サイト内) | LINE・SMS・アプリ配信 | サイト内のWeb接客(ポップアップ等) | 売上直結の分析(F2転換・LTV・ランク) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①Salesforce(Sales Cloud・Marketing Cloud) | ○ (同じ顧客基盤・Data Cloud接続) | ○ (Marketing Cloud) | ○ (Marketing Cloud) | ○ (メール・モバイル・LINE) | △ (関連製品で対応) | △ (レポートで設計) |
| ②HubSpot(Marketing Hub) | △ (店舗データは連携アプリ・APIで取り込み) | ○ (ワークフロー) | - | △ (LINEは連携アプリ) | △ (ポップアップフォーム・CTA) | △ (カスタムレポートで設計) |
| ③カスタマーリングス | ○ (ECカート・店舗POSを統合) | ○ | ○ | ○ (LINE・SMS・プッシュ通知) | - | ○ (購買回数・ランク別分析) |
| ④うちでのこづち | △ (通販の購買データが中心) | ○ | - | ○ (LINE・SMS・DM) | - | ○ (RFM・転換率・LTV分析) |
| ⑤EC Intelligence | △ (ECの購買・行動データが中心) | ○ | ○ (サイト内レコメンド) | ○ (メール・LINE・SMS) | ○ (Web接客・A/Bテスト) | ○ (購買・行動分析) |
| ⑥KARTE | ○ (Datahubでデータ統合) | △ (KARTE Messageなど関連製品) | △ (外部サービスとの連携) | ○ (LINE・プッシュ通知) | ○ (中心機能) | △ (行動分析が中心) |
※各社公式サイトの公開情報をもとに作成(2026年9月時点)
次に、各製品の分類・主な機能・料金・向いている事業・導入前に確認したい点を整理します。
| 製品名 | 分類 | 主な機能 | 料金 | 向いている事業 | 導入前に確認したい点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①Salesforce(Sales Cloud・Marketing Cloud) | 統合型 | ・顧客管理・商談管理 ・メール・モバイルの配信 ・ECサイト構築 ・部門別の権限管理 | ・無料版あり ・Sales Cloud:3,000円〜66,000円/ユーザー/ ・Marketing Cloud:180,000円/組織/月〜 | 複数部門・複数ブランドの顧客データを統合して運用したい事業 | ・設計・実装を担う体制を用意できるか ・設計・実装の費用を含めた総額はいくらか |
| ②HubSpot(Marketing Hub) | 統合型 | ・顧客データの一元管理 ・ステップメール ・分岐型ワークフロー ・フォーム・LP作成 | ・無料版あり ・Starter:840円/月/シート〜 ・Professional:96,000円/月〜 ・Enterprise:432,000円/月〜 (いずれも年払い時の月額) | 小規模から始めて、段階的に機能を追加したい事業 | ・配信対象にするコンタクト数で費用が見合うか ・プランごとのメール送信上限が配信量に足りるか |
| ③カスタマーリングス | EC特化型CRM/MA | ・ECと店舗の購買データ統合 ・顧客分析 ・メール・LINE・SMSのシナリオ配信 ・レコメンド | ・要問い合わせ | 店舗とECの購買データを統合して、分析と配信を行いたい事業 | ・大量配信時の配信速度が自社の配信量に合うか ・送信ドメインをどう設定するか |
| ④うちでのこづち | EC特化型CRM/MA | ・通販向けの顧客分析(RFM・転換率・LTV) ・メール・DM・LINE・SMSの配信 ・効果検証 | ・月額60,000円(税別)〜 ・初期費用は要見積もり | 定期購入・単品リピート通販の事業 | ・自社で使いたいデータ項目と分析軸に対応しているか |
| ⑤EC Intelligence | EC特化型CRM/MA | ・購買・行動データの分析 ・サイト内検索・レコメンド ・Web接客・A/Bテスト ・メール・LINE・SMS配信 | ・要問い合わせ | サイト内レコメンドと配信をまとめて運用したい事業 | ・管理画面の操作や設定を、担当者が日常的に使えるか |
| ⑥KARTE | Web接客型(CXプラットフォーム) | ・サイト・アプリ上の行動の解析 ・ポップアップ・チャット・プッシュ通知 ・関連製品による配信・データ統合 | ・要問い合わせ | サイト・アプリ上の接客を中心にしたい事業 | ・メール・LINEの大量配信や購買データの分析を、どのツールと組み合わせるか ・KARTE単体で担う範囲をどこまでにするか |
ここからは、6製品それぞれの「できること・特徴」「費用感(料金)」「導入前に確認したい点」を順に紹介します。
①Salesforce(Sales Cloud・Marketing Cloud)

画像引用元:Salesforce
Salesforceは、世界的に導入実績の多いCRM/MAプラットフォームです。
できること・特徴
ECサイトの構築から、購入後のメール・LINEの自動配信、問い合わせ対応や営業管理まで、顧客に関わる仕組みを一つのシステム上でまとめて連動させられます。
何十万人規模の購買データも扱えるだけの処理能力があり、「店舗スタッフには個人情報を見せない」「アルバイトには配信設定だけ許可する」といった細かいセキュリティ・閲覧制限にも対応可能です。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ・Sales Cloud:3,000円〜66,000円/ユーザー/月(無料プランあり) ・Marketing Cloud:180,000円/組織/月〜 |
| 料金が変わる要素 | ユーザー数、エディション、追加製品(パーソナライズ、ロイヤルティ管理など) |
| 補足 | サポートは無償のセルフガイド型に加え、有償のPremier・Signatureプランが用意されている。 |
Sales Cloudは利用するユーザー数、Marketing Cloudは組織単位のエディションで料金が決まります(2026年9月時点)。顧客管理と配信の両方を使う場合は、2つの製品の費用を合わせて見積もります。
導入前に確認したい点
製品数が多いため、どの製品の組み合わせで自社の施策を実現するかという設計に専門知識が必要です。設計・実装を担う体制と、その費用を含めた総額を事前に確認しておく必要があります。
②HubSpot

画像引用元:HubSpot(ハブスポット)
HubSpotは、無料版から始められる統合型のCRM/MAプラットフォームです。
できること・特徴
プログラミングの知識がなくても、マウス操作だけで「資料請求の3日後に自動でフォローメールを送る」「メールを開いた人だけに別の案内を送る」といった追客の仕組みをつくることができます。
集客から営業、購入後のサポートまで顧客データが1つの画面で連動しており、まずは無料版で顧客台帳の管理から始め、事業の成長に合わせて必要な機能を少しずつ追加するという進め方ができます。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ・無料版あり ・Starter:840円/月/シート〜 ・Professional:96,000円/月〜 ・Enterprise:432,000円/月〜 (いずれも年払い時の月額) |
| 料金が変わる要素 | マーケティングコンタクト数、シート数、追加するHub |
| 補足 | Professional以上は導入支援費が別途必要(Professional 360,000円、Enterprise 840,000円)。 |
月額料金と含まれるマーケティングコンタクト数は、公式料金ページに掲載されています(2026年9月時点)。配信対象として登録する顧客数が増えると月額が上がるため、対象にする顧客の範囲を決めてから見積もります。
導入前に確認したい点
マーケティングコンタクト数に応じて課金されるため、顧客数の多いEC・通販では、全顧客を配信対象として登録すると月額が上がります。
配信対象にするコンタクトの範囲と、プランごとのメール送信上限を事前に確認したうえで、必要に応じてデータの持ち方を検討する必要があります。
③カスタマーリングス

画像引用元:カスタマーリングス
カスタマーリングスは、国内のEC・通販企業に導入実績の多いCRM/MAツールです。
できること・特徴
ネットショップでの注文データ、実店舗レジでのお買い物履歴、Webサイトの閲覧ログなどを1つに集め、「何回購入してくれたか」「常連さんかどうか」を自動で分類して、メール・LINE・SMSでそれぞれに合った案内を届けることができます。
顧客データの分析からメッセージ送信まで、別のシステムを使わずにこれ1つでまとめて完結できます。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ(初期費用+月額) |
| 料金が変わる要素 | 顧客データ件数、オプション |
| 補足 | 初期費用に、環境構築と、キックオフから約2ヶ月間の初期アクション設定支援(顧客セグメント設定、メール配信設定、ダッシュボード登録など)を含む。オンラインサポートや勉強会あり。 |
金額は公式サイトに掲載されていないため、見積もりが必要です。月額は顧客データ件数とオプションで変わるため、現在の顧客数に加えて、今後の増加の見込みも伝えたうえで見積もりを取ります。
導入前に確認したい点
大量配信時の配信速度や送信ドメインの設定など、配信まわりの仕様は自社の配信量に照らし合わせて事前に確認しておく必要があります。一度に大量のメールを送る場合、配信速度によっては全員に届くまでに時間がかかり、送信ドメインの設定によっては迷惑メールと判定されやすくなるためです。
必要に応じて、外部の配信サービスと組み合わせて補う方法もあります。
④うちでのこづち

画像引用元:うちでのこづち
うちでのこづちは、定期購入・単品リピート通販に特化したCRM/MAツールです。
できること・特徴
化粧品や健康食品などの「定期購入(定期便)」を得意としており、「お試し購入だけで終わっているお客様」や「何回も続けてくれている常連さん」を自動で分類して、メール・LINE・ダイレクトメールでそれぞれに合った案内を届けることができます。
定期購入ビジネス特有の顧客分析から追客メッセージの送信まで、別のシステムを使わずにこれ1つでまとめて管理できます。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | ・ベーシックプラン:月額60,000円(税別)〜 ・初期費用:要見積もり |
| 料金が変わる要素 | 顧客数(従量課金) |
| 補足 | 月額にシステム利用料と運用サポートを含む。 初期費用にアカウント発行と導入支援を含む。 |
最低月額は公式サイトに掲載されていますが、顧客数に応じた従量課金のため、実際の金額は見積もりで確認します。初期費用も、既存システムのヒアリング後の見積もりになります。
導入前に確認したい点
うちでのこづちには、定期購入や単品リピート通販でよく使う分析と施策が、あらかじめ用意されています。そのため、商品点数が非常に多い事業や、独自のデータ項目を持つ事業では、用意された項目や分析軸だけでは足りない可能性があります。
自社で使いたいデータ項目と分析軸を書き出し、対応できるかを事前に確認します。
⑤EC Intelligence

画像引用元:EC Intelligence
EC Intelligenceは、サイト内のレコメンドから配信までを1つにまとめた、EC向けのCRM/MAツールです。
できること・特徴
ユーザーのネットショップでの購入履歴や「どんな商品を見ているか」を分析し、Webサイト上でのおすすめ商品の自動表示から、メール・LINE・SMSでの案内までを1つの画面でまとめて実行することができます。
顧客の興味に合わせた商品の提案から追客メッセージの送信まで、別のシステムを使わずにこれ1つで完結できます。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ |
| 料金が変わる要素 | 月間PV数、月間のメール配信数(会員数には依存しない) |
| 補足 | 施策の開始まで月額費用は発生しない。最低契約期間は3ヶ月。 |
会員数ではなく、PV数とメール配信数で料金が決まることが特徴です。
導入前に確認したい点
管理画面の操作性や設定の自由度は製品ごとに差があるため、デモやトライアルで、担当者が日常的に使えるかを確認します。
⑥KARTE

画像引用元:KARTE
KARTEは、サイトやアプリ上での接客を中心としたCX(顧客体験)プラットフォームです。
できること・特徴
今まさにWebサイトやアプリを見ているお客様の動きを検知し、「購入を迷っている瞬間」に限定クーポンをポップアップ表示したり、チャットやLINEで声をかけたりできるツールです。
まるで実店舗で店員さんが声をかけるように、画面上の接客から購入後のメッセージ案内まで、リアルタイムにお客様を接客することが可能です。
費用感(料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金 | 要問い合わせ(初期費用+月額基本料金) |
| 料金が変わる要素 | 利用パッケージ、サイトの月間ユーザー数(UU数) |
| 補足 | 初期費用に、導入時のシステム連携支援と運用サポートを含む |
金額は公式サイトに掲載されておらず、過去12ヶ月のサイトUU数などをヒアリングしたうえでの見積もりになります。
導入前に確認したい点
Web接客が中心のため、メール・LINEの大量配信や購買データの深い分析は他ツールとの組み合わせが前提になる場合があります。自社が実現したい施策のうち、KARTE単体で担う範囲を先に決めます。
「実施したい施策」から必要な機能と対応製品を逆引きしたい場合は、「CRM・MAツールの選び方|「やりたいこと」別に必要な機能と14製品の対応表」をご覧ください。
自社の成長フェーズに最適なEC・通販向けCRMツールの選び方
ここまで、EC・通販向けCRMツールの機能と、主要6製品の特徴を紹介しました。ただし、どの製品が合うかは、事業の規模や顧客数、配信量によって変わります。
自社に合ったCRMツールを選ぶ軸は、次の4つです。
- やりたい施策に必要な機能があるか
- 顧客数とデータ量に対して費用体系が見合うか
- 配信量に対応できるか
- 自社で運用できる体制があるか
このうちどの軸を優先するかは、成長フェーズによって異なります。ここでは、3つのフェーズに分けて選び方を整理します。
- 初期フェーズ:自社の基準を決めてから機能を選ぶ
- 拡大フェーズ:顧客数とデータ量に合わせて費用体系を確認する
- 最適化フェーズ:配信量に合わせて構成を見直す
初期フェーズ:自社の基準を決めてから機能を選ぶ
初期フェーズでは、高機能なツールを導入する前に、自社の基準を購買データから決めます。基準がないまま多機能なツールを入れても、セグメントの条件が決まらず、一斉配信に戻ってしまうためです。
ここでいう基準には、「顧客が2回目を購入するまでの日数」「休眠と定義する期間」などが挙げられます。年商数千万円から1億円未満の段階では、ECカートの標準機能や連携アプリ、比較的安価な配信ツールの組み合わせで施策を実行できます。
拡大フェーズ:顧客数とデータ量に合わせて費用体系を確認する
拡大フェーズでは、顧客数とデータ量が増えたときの費用を確認してから、製品と料金プランを選びます。顧客数が数万人から数十万人の規模になると、コンタクト数やデータ量に応じた従量課金の製品では、全顧客・全購買履歴をそのまま格納した場合に、月額費用が段階的に上がるためです。
まず、配信対象として常時登録しておく必要がある顧客の範囲と、分析にだけ使うデータの範囲を分けて考えましょう。分析用のデータはデータベースやデータウェアハウスに置き、施策の対象になった顧客リストだけをCRM・MAツールに連携する構成も選択肢の一つです。
最適化フェーズ:配信量に合わせて構成を見直す
最適化フェーズでは、配信量に対していまの構成が合っているかを見直します。配信量が増えると、キャンペーン時の一斉配信で、配信速度や送信上限が要件に合わなくなることがあるためです。
制限に当たったときの対処法には、次の3つが挙げられます。
- 上位プランへ変更する
- 配信専用の外部サービスを別途導入し、CRM・MAツールは「誰に・いつ・何を送るか」を決めるシナリオ管理に専念させる
- 配信対象と頻度を見直して配信量そのものを最適化する
どれが費用対効果に優れるかは、配信量と施策の内容によって変わります。ツールを足す・替える前に、いまの配信の対象と頻度を見直す余地がないかを確認するほうが、費用を抑えられるでしょう。
- 坂東コメント:ツールの制限に当たったとき、「上位プランへ」と考える前に、いまの構成を見直す余地がないか確認しておきたいところです。Geneが支援したある企業では、新しいツールを足さずに配信のターゲティング精度を上げる見直しを行い、年間約1.2億円かかっていた配信コストを約6,000万円まで削減しました。別の企業では、開発費の見積もりを5,000万円削減しています。「足す」より「見直す」で成果が出ることは珍しくありません。
EC・通販のCRMツール選定を、CRM戦略コンサルティングのGeneに相談する3つの理由
機能と料金を比較するところまでは自社で進められても、「自社の顧客数と配信量で、どの構成なら費用が見合うのか」「いまのカートと配信ツールのままでは実現できないのか」を判断する段階で、立ち止まってしまう企業も少なくありません。
Geneは、30業種・500社以上、累計1.5兆円の購買データと向き合ってきたCRM戦略コンサルティング会社です。EC・通販のツール選定でGeneが選ばれる理由は、次の3つです。
- ブランドの価値と顧客との関係から、ツールに求める機能要件を決めるから
- 特定のツールを持たず、いまのカートや配信ツールを活かした構成から検討するから
- 購買履歴から配信の相手と時期を決め、ツール投資の効果を導入前に試算できるから
ブランドの価値と顧客との関係から、ツールに求める機能要件を決めるから
Geneの支援はツールの比較から入らず、ブランドの価値と顧客との関係を理解したうえで、「どの顧客に何を届けるか」という全体戦略を描きます。
本記事で挙げた新着・再入荷情報の配信、レコメンド、ランク制度のうち、どの施策を優先するかを決めてからツールを比較するため、ツールに求める機能要件がぶれず、「多機能だが自社の施策には使わない機能」に費用を払わずに済むのが特徴です。
「F2転換と購買間隔のどちらを改善する施策なのか」が先に決まっているため、製品の比較も短時間で終わります。
特定のツールを持たず、いまのカートや配信ツールを活かした構成から検討するから
Geneは特定のツールを持たず、企業ごとの状況に合わせて適切なツールを組み合わせ、システムを構築していくCRM戦略コンサルティング会社です。自社で売るツールを持たないため、上位プランや追加ライセンスありきの提案にはなりません。
いまのカート・データ基盤・配信ツールを活かした構成から検討するため、追加の投資を必要な範囲に抑えられます。配信量の制限に当たった場合も、上位プランや配信専用サービスを検討する前に、配信の対象と頻度を見直す余地がないかを確認します。
購買履歴から配信の相手と時期を決め、ツール投資の効果を導入前に試算できるから
EC・通販のCRMツールは、どの製品を選んでも、配信する相手・時期・内容が決まっていなければ成果につながりません。Geneは購買履歴をもとに、F2転換や優良顧客化につながる配信の相手と時期を設計します。
設計の根拠になるのが、売上予測モデルです。Geneは、顧客セグメントごとのリピート率と購買間隔を「購買確率関数」として数式化し、実績ベースで誤差5%以内の精度で将来の売上を予測するモデルを構築しています。
売上予測モデルを使えば、「導入する構成でF2転換率と購買間隔がどれだけ変化し、売上がいくら増えるのか」を、ツール導入前に試算できます。ツールの費用と期待できる売上の増分を比較して判断できるため、投資判断の根拠を社内に示せます。
EC・通販向けCRMツールに関するよくある質問
最後に、EC・通販向けのCRMツールについて、事業責任者や担当者の方からよくいただく質問とその回答を紹介します。
EC・通販向けのCRMツールと一般的なCRMツールは何が違いますか?
EC・通販向けの製品は、ECカートや店舗POSとのデータ連携、購買回数やLTVなど通販特有の分析軸、メール・LINEの配信機能を標準で備えていることが多いことが特徴です。
一般的なCRMには営業活動の管理が中心の製品もあるため、購買データを軸にした分析と配信ができるか確認する必要があります。
顧客数が増えると費用はどのくらい上がりますか?
コンタクト数やデータ量に応じた従量課金の製品では、顧客数の増加に伴って月額が段階的に上がります。
ただし、上がり方は製品の料金体系によって異なるため、現在の顧客数だけでなく1〜2年後の見込み顧客数で見積もりを取り、配信対象として登録する顧客の範囲を設計しておくことが重要です。
まずは無料や安価なプランから始めても問題ありませんか?
顧客数が少なく、施策がメール配信中心の段階であれば、問題ありません。
ただし、セグメント配信や分岐型のシナリオなどはプランによって利用できない場合があるため、実施したい施策が上位プランでしか実現できないかを事前に確認し、移行のタイミングを見込んでおくとよいでしょう。
ツールを乗り換えれば成果は改善しますか?
ツールの乗り換えだけで成果が変わるとは限りません。配信の対象や頻度、セグメントの切り方が同じままであれば、得られる結果も同じです。
乗り換えを検討する前に、現状のツールで実現できていない施策は何か、設定や運用の見直しで解決できないかを切り分けることをお勧めします。
まとめ
EC・通販のCRMツールは、新着・再入荷などの商品情報の配信、閲覧・購買履歴にもとづくレコメンド、体験型コンテンツとランク制度といった施策を、継続して実行できるかを基準に選びます。そのために必要な機能は、次の5つです。
- 購買履歴の一元化
- 購買サイクルに合わせた自動配信
- シナリオ分岐
- リピート率やLTVの分析
- 複数チャネルでの配信
主要なツールは「統合型」「EC特化型CRM/MA」「Web接客型」の3種類に分けられ、得意な範囲と料金体系が異なります。選定の軸は、「必要な機能」「費用体系」「配信量への対応」「運用体制」の4つで、初期・拡大・最適化のどのフェーズにあるかによって優先順位は異なります。
ただし、製品ごとの機能と料金がわかっても、自社の顧客数と配信量に対してどの構成なら費用が見合うのかは、自社の購買データと照らし合わせなければ判断できません。現状のカートや配信ツールのままで実現できる施策も、製品の比較だけではわかりません。
Geneは、購買データから優先すべき施策と配信の対象を決め、いまのカートや配信ツールを活かした構成から検討します。自社の顧客数・購買間隔・配信量に対して、どの構成なら費用が見合うのかを判断したい方は、Geneの初回診断をご活用ください。